スピッツ「醒めない」DVDレビュー 8曲目:アカネ
スピッツ結成30周年を記念してライブDVD「醒めない」を勝手にレビューする企画。8曲目は「アカネ」。
2000年7月に発売された9thアルバム「ハヤブサ」に収録されている。軽快なミドルテンポの8ビートが気持ちいい良曲だ。
この曲で僕が好きなところは、(歌詞やメロディーは良いとして)サビのところ(1番でいうと「ひとつ~ 遠く~ 歩き出そうか」のところ)のギターとベースのフレーズ。
これはイントロやアウトロ(エンディング)でも一貫して演奏されているフレーズだけど、何度聴いても、なんか飽きないね。聴いてて気持ちいい。すがすがしい感じがして好き。
ギターのフレーズは聴こえやすいから分かりやすいけど、実はベースのフレーズもよく聴いてほしい。通常のベースの役割を少々逸脱したメロディーっぽいフレーズを演奏しているんだ。
通常のベースの役割は文字通りベースコードを弾くこと。コードがCだったらドの音を、Fだったらファの音を基本鳴らす。それを忠実に弾くべき曲ももちろんあるけど、僕はこの曲みたいに「ベースも唄ってる」ようなフレーズが好きだ。
しかもギターやメロディーの邪魔をせずに。この曲ではジャマをするどころか大いに曲を盛り上げていると思う。何度聴いても飽きない理由はココにある気がする。
この曲は実はちょっと変わっていて、曲の構成が普通のJ-POPの売れ線とは違っている。
その理由は曲の長さが極端に短いのだ。
歌詞でいうと1番は「悲しい日には 新しい歌 ひとつ 遠く 歩き出そうか」ここまでだ。時間でいうと26秒。2番もほぼ同じ長さだ。
1番が30秒もないから普通のJ-POPの1番の長さよりすごく短い。
参考までに「チェリー」だと1番の長さは1分くらい。なので「アカネ」は売れ線のセオリーからは外れた作り方になる。あくまでJ-POPの話だけど。
この曲の構成はどちらかというと初期のビートルズとか昔の曲の構成に似ている(と思う)。初期のビートルズの曲はこういった1番の長さが短い曲が多い。
例えば「抱きしめたい(I want to Hold Your Hands)」とか。ビートルズの場合は曲全体も短く2分半で1曲が終わってしまい、あっという間に曲が終わってしまう。曲がイイから繰り返し聴きたくなるんだよね。
「アカネ」の場合はイントロを長くしたりギターソロを入れたり、唄とギターだけにしてみたり、、いろんなアレンジで何とか延ばしに延ばして4分という長さにまとめている(気がする)。曲の構成もこれ以上ないくらいのアレンジをしているんじゃないかな。
このように1番の長さが短いから何度も同じフレーズ、コード進行を繰り返さないといけない。にもかかわらず視聴者を飽きさせずに1曲聴かせられるのは、アレンジもそうだけどやはりメロディーが良いからなんだろうね。
ちょっとほめすぎかもしれないけど、イイ曲だと思う。