スピッツ「醒めない」DVDレビュー 13曲目:モニャモニャ
スピッツ結成30周年を記念してライブDVD「醒めない」を勝手にレビューする企画。13曲目は「モニャモニャ」。
この曲も15thアルバム「醒めない」に収録されている。
「モニャモニャ」とはアルバムジャケットに写っている生き物のこと。メンバーが考えた想像上の生き物。
一見すると竜みたい。
我が家のモニャモニャ
↑↑↑の画像は我が家にあるモニャモニャのぬいぐるみだが、これを手に入れるのはものすごく大変だったらしい。
インターネットで何度か数量限定で購入する機会があったんだけど、発売が開始されてすぐにカートに入れて、支払するためにカード情報を入力。
しかしそのカード情報を入力している間に売り切れてしまい買えなかったらしい。
たしかこれ6000円(税抜)もするのにどうゆうこと?最近スピッツファンの凄さをひしひしと感じます。
結局期間限定で受注販売する機会があったので、それでゆっくりと購入することができたけど、それがなかったら買えなかったんじゃないかな。
しかし今回のライブをよく観てみると、 映像に映っているモニャモニャはプロトタイプ(試作品)ということがわかる。
ライブでのモニャモニャ
↑↑↑がライブでのモニャモニャ。画像がちゃんとしてなくてゴメンだけど、ぬいぐるみのモニャモニャと比較してほしい。若干違うのだ。
具体的に言うと、ライブのモニャモニャには
- 「角」がない
- 背中に付いてるトゲトゲみたいなのがない
- よく見ると「目」も細めでなくパッチリしている
こういったキャラクターも何度も試行錯誤して作り上げてるんだなと思った。
まぁそれはそれとして楽曲としての「モニャモニャ」だが、静かな曲で曲の雰囲気にマッチするようにいろいろ特殊な楽器が使用されている。
1つは崎山さんのドラムのブラシ。ここでは通常のドラムスティックではなく「ブラシ」という楽器が使われている。
ブラシ
ブラシはジャズでよく使われている。アコースティック(生楽器)な楽曲にも合うので比較的静かな曲で使われることが多い。
ドラムスティックとは違ってすごくやさしい音がするのだ。ドラマーとして表現の幅が広がる。
もう1つはテツヤさんの12弦ギター。
ギターの弦が何本あるかなんて、考えたことない人もいるだろうね。
通常ギターは6本、ベースは4本の弦が張られているのが一般的だ。
今回テツヤさんが使っているのは通常のギターの倍の本数の弦が張られている12弦ギター。
通常の6弦ギターのそれぞれの弦のすぐ側に1オクターブ上の高い音の弦が張られている。
印象でいうとキラキラした感じの音が聴こえて、これも曲にマッチするのだ。
曲の雰囲気に合わせてバンドメンバーそれぞれが試行錯誤しているのが感じられて素晴らしい。
こういったところも注目して観てみると、また違ったスピッツが見えてきて面白いね。
スピッツ「醒めない」DVDレビュー 12曲目:ヒビスクス
スピッツ結成30周年を記念してライブDVD「醒めない」を勝手にレビューする企画。12曲目は「ヒビスクス」。
咲~いた 変わらずに~ やさしく微笑むような~
「ヒビスクス」はラテン語で「ハイビスカス」のことらしい
この曲も15thアルバム「醒めない」に収録されていて、スバル「フォレスター」のCMソングに起用された。
サビ前の静かな雰囲気とサビの疾走感とのギャップが魅力な曲だ。
僕の妻は最初にスバルのCMでサビだけ聴いてて大体の曲をイメージしてたみたい。
あとでラジオの先行オンエアで一曲まるまる聴く機会があって、初めてフルで聴いた時にサビ前とサビとの曲の展開がイメージと違っていてすごく驚いたみたい。
妻が「今までのスピッツとは違うわ!!もちろんイイ意味で。」と熱く語っていたのを覚えている。
僕は比較的ライトなファンだからそこまで驚かなかったが、ファン歴20年以上の重鎮からするとギャップが衝撃的だったみたい。
楽曲のアレンジ的に注目したい点はテツヤさんのギター。サビのフレーズだ。ここではカッティングという奏法を使っている。
カッティングというのは、出した音を「カット」することで歯切れの良いフレーズにする弾き方で、ギターとしては一般的な奏法だ。
一般的には特に珍しい奏法ではないのだが、テツヤさんがこんなにカッティングしているのはあまり聴いた覚えがない。
しかも特筆すべきは通常のカッティングフレーズとアルペジオをサビの中で使い分けている点だ。
歌詞でいうと「恐れる~な 大丈夫 もう 恐れる~」までがアルペジオのフレーズで、それ以外はカッティングフレーズだ。
たいていはサビ全部にカッティングを演奏するものだが、カッティングだとメロディーの邪魔になると判断したのだろうか。イイ雰囲気で切替えられている。
もしくはサビのフレーズに変化をつけようと思ったのかもしれない。
いずれにせよこの判断はグッド!だと思う。さすがアルペジオ職人で有名な(?)テツヤさん。センスが光っている。
新解釈!!スピッツ歌詞「バニーガール」
スピッツの歌詞って意味がよくわからないのが多いよね。それが魅力でもあったりするんだけど。
「バニーガール」も歌詞の意味を理解するのがむずかしい部類に入っている。
わからないから、いろんな人がネット上で解釈をアップしてたりして。
そしてそれを読むのがまた楽しかったりする。
しかしいろんな人の解釈を読んでるとバニーガールに関しては「僕が考えてるのと全然ちがう!!」と感じたので、僕なりの解釈を発表しようと思う。
もちろん他の人の解釈を批判するわけではありません。そもそも何が正しいかなんて草野さんしかわからないしね。
あくまで僕の勝手な解釈なんでおヒマなら読んでって下さい。
新解釈!!「バニーガール」歌詞
ほとんどの人がこの詞のテーマが「(バニーガールとの)恋」だと断定しているが、僕の解釈は違う。僕は「商業音楽(売れ線の音楽)業界で生き抜く決意表明」がテーマだと思う。
「またわけのわからないことを…」と思われるかもしれないが、もう少しおつきあいを(苦笑)。
実際の歌詞を見ながら解説していこう。
(原文)
寒そうなバニーガール 風が吹いた
意地悪されて 震えていた
バニーガールのモデルは「欽ちゃんの仮装大賞」のアシスタントのバニーガールを指しているとネットでもっぱらのウワサだ。
僕の解釈では特にモデルは何でもいいので、今回はこの説を採用することにする。
(解釈)
欽ちゃんの仮装大賞に出てくるバニーガールはどこか他の人たちと比べて寒そうだ。
なぜなら他の人がみんな服をちゃんと着ているからだ。風が吹いたら寒いだろうな。
罰ゲームで1人だけバニーガールの格好をさせられてるようにも見えなくもない。
(原文)
恋は(恋は)
恋は 何故かわがままに
光のシャワーを 闇に向けた
(解釈)
「恋」といっても俺が恋焦がれているのは「音楽」。音楽の女神はなぜか俺という闇に脚光を浴びせた。要はスピッツの音楽が売れたのだ。
(原文)
俺もまたここで続けられそうさ
そんな気がした曇りの日
(解釈)
音楽が売れたおかげでこれからしばらくは商業音楽の業界で生きていけそうだ。俺も頑張るよ。
欽ちゃんの仮装大賞で1人バニーガールの格好をさせられながらも頑張っている姿を観ながら思った曇りの日。
(原文)
Only youの合図で 回り始める
君と落ちてく ゴミ袋で受け止めて
(解釈)
「Only you」っていう歌詞は、ポップスではラブソングの定番だよね。そんな歌詞を僕も不本意だけど使うことで、商業音楽の世界に浸っていく。
売れなくなったらいつ消えてもおかしくない世界にスピッツファンのみんなと飛び込んで行く。こんな不安な僕を何でもいいから受け入れてほしい。
(原文)
夢見たあとで 夢に溶けた
灯りを消して 一人泣いた
(解釈)
音楽で飯食っていくと夢見ながらここまで来た。
だけど売れたことによってイヤなことも出てきた。
例えば私生活で息苦しくなったり。疲れてる時でも明るく歌わなければならなかったり。夢が夢ではなくなってしまった。
そんなことを考えながら、灯りを消して一人泣いた夜もあったよ。
(原文)
いいなぁ(いいなぁ)
いいなぁ と人をうらやんで
青いカプセルを 噛み砕いた
(解釈)
他の売れてるミュージシャンはみんなウマくやってそうだよな。いいよな、俺もあんな風に世間とウマくやっていけたらいいのに。
青酸カリのカプセルでも飲んで自殺でもしてしまおうか。
(原文)
名も知らぬ君に 気に入られようと
底の無い谷を飛び越え
(解釈)
世間のスピッツを知らない人達に気に入ってもらおうとイヤなことや経験したことのないことも頑張ってやったよ。
(原文)
Only you 世界中が口を歪める
君に消される 砂嵐にさらわれて
(解釈)
売れ線の音楽を歌うスピッツを聴いて、世界中のみんなが評価を下げる。結果売れなくなってスピッツが業界から消える。砂嵐にさらわれるよう。そんなのはイヤだ~。
まとめ
まとめてみると以下のようになる。
- タイトルの「バニーガール」はタイトルでありながら本文とはほとんど関係がないこと
- 本文のテーマは「恋」ではなく「音楽業界での生き残り」であること
- 憧れていたミュージシャンという職業の夢と現実とのギャップに悩みながらもこの業界で生きていく決意を表明しているということ
- この曲が発表されたのはシングル「チェリー」のカップリング曲として。曲が作られたのがその少し前と推測されるので、ちょうどスピッツの曲が世間に広まり出した時期。自身が有名になっていく過程で悩みを抱えてもおかしくないと推測されること
…かなり偏った解釈だがいかがだろうか。
僕の解釈だとせっかくの明るい曲調が台無しになるね(苦笑)。
でも僕にはこう読み取れたのでした。
この解釈だとほとんどの歌詞のつじつまが合う(と思う)。
あなたの解釈はどう?
スピッツ「醒めない」DVDレビュー 11曲目:バニーガール
スピッツ結成30周年を記念してライブDVD「醒めない」を勝手にレビューする企画。11曲目は「バニーガール」。
飛び跳ねながら演奏する田村さん。ジャンプしながら演奏する技術もスゴイと思うが、ベースにつながっているケーブルが抜けると音が出なくなるので、後ろにいるローディさんが必死にケーブルを確保しようとしている。裏方もタイヘンだ
前曲の「子グマ!子グマ!」の難解なリズムとはうって変わって8ビートのロック曲。
小難しかったリズムから解き放たれてメンバー達も心なしか生き生き演奏しているように見える。この落差は聴いてて気持ちいいね。
この曲は7thアルバム「インディゴ地平線」に収録されていて、シングル「チェリー」のカップリング曲でもある。
ライブでは定番曲として演奏されていて、今までのDVDにも多数収録されている。
この曲の1つの観どころはサビの手前のキメでソロコーナーがあるところだ。
何のことかというと、サビの直前で1小節、演奏が止まり、その間1人がソロフレーズを弾くというもの。
ライブの映像をよく観てほしいのだが、ソロコーナーのタイミングで一瞬、1人スポットライトが照らされているのがおわかりいただけるだろうか。
バンドをしている人達からすれば、こういう箇所は腕の見せ所で、プレイヤーのセンスが問われるところ。だから結構気合いが入ってたりするのだ。
ソロ担当は1番づつ毎回変わって、それぞれ持ち回りになってる感じ。
「前回は俺と崎ちゃんがやったから、今回はテツヤと俺ね。」(田村)みたいな感じで決めてるのかな?
今回は1番が田村さんで2番が崎山さんだった。2人ともちょっとブナンなフレーズだったので僕的にはちょっと物足りなかったかな。
テツヤさんみたいにエフェクターを駆使した超変な音で勝負するのも、やり過ぎな感じがするが、なんかこう、もっと攻めるソロを聴かせてほしいな~。
…無茶ぶりですね(笑)すいません。毎回楽しみにしています。
~ 追記 ~
確認のためにDVDをいろいろ観なおしたけど、どうやら2番のキメは崎山さんで決まってて、叩く内容も決まってるみたいだね。持ち回りになっているのは1番のキメのとこだけみたい。生で観たいな~。
あとちなみにアウトロ(演奏の最後、イントロの反対)をよく聴いてほしい。実は草野さんがギターソロをしているのだ。
スピッツのリードギター(主に主旋律:メロディーを弾くギターのこと)はテツヤさん、サイドギター(主に伴奏を弾くギターのこと)は草野さんが担当している。
普通だとサイドギターの方が音量が小さいので、草野さんがギターソロをしても他の演奏に掻き消されがちで聴こえにくい。
せっかくの草野さんのソロだからそこだけ音量上げてくれてもいいのにな、と毎回思う。
なので興味のある人はよく耳を澄まして聴いてみてください。